相続手続き

 人が亡くなった場合、その死者(被相続人)の財産(相続財産又は遺産という)は、一定の範囲の親族(相続人)に移転するわけですが、悲しみ冷めやらない遺族にとっては、色々と解決しなければならない問題が生じてきます。例えば、誰が相続するのか? 遺言書はあるのか? いったい遺産はどれだけ有るの? 相続人は自分たちだけなのか? 相続人の1人が行方不明で話し合いが出来ない! 故人に借金はあったのか? 相続税を払わなければならないのか? といった具合です。

 

 司法書士は、次の事案などに相談を受け、解決に向けサポートできますので、お気軽にご相談下さい。

 

● 相続財産の調査

 まず何が相続財産であるかを確定させる必要があります。

積極財産としては、土地・建物・借地権・借家権などの不動産。

現金や預貯金、株券、国債、貸付金などの債権もそうです。

その他には、自動車、貴金属・美術品などの動産、電話加入権、損害賠償請求権などがあります。

 注意すべきは、負債も相続財産だということです。借金、住宅ローン、未払いの所得税・住民税その他の税金も相続人に承継されます。

  

 不動産の調査については、市町村役場の税務課等で固定資産課税台帳名寄帳の閲覧・謄写や、登記簿謄本・権利書で確認する方法があります。

 預貯金の調査については若干面倒です。銀行などの金融機関では、預金者が死んだことを知った時点で取引を停止させます。そこで相続人が預金の残高等を知りたいときは、残高証明発行の手続を執ることになります。各金融機関によって手続が異なりますが、被相続人の戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、印鑑証明書など書類が必要になってきます。

 

● 遺言書

 相続財産が誰にそしてどのように承継されるかは、遺言書の内容が最優先されますので、まずは、遺言書の有無を確認してください。

 遺言書がないことが分かれば、法定相続人による財産の相続となります。

 

● 法定相続

 法定相続人は以下のとおり決まっています(民法900条)。

  ①配偶者

  ②子(被相続人より前に死亡している場合は、その孫又はひ孫が相続人)

  ③父母(被相続人より前に父母がともに死亡している場合は祖父母が相続人)

  ④兄弟姉妹(被相続人より前に死亡している場合には、その子(つまり甥や姪)が相続人)

 

 この相続人には順位が決まっていて以下のとおりの順位で以下の相続分を受けることができます。

    第一順位   子      1/2     配偶者 1/2

    第二順位   父母     1/3     配偶者 2/3

    第三順位   兄弟姉妹 1/4           配偶者 3/4

   

  ※配偶者は常に相続人となります。

 

 遺言書が無く、遺産分割協議(民法906条)や相続放棄(同938条)を行っていないのであれば、上記の相続分に従って相続人全員で相続財産全部を共有する状態が続きます(民法896条、同898条)。

 

● 遺産分割

 共同相続人の共有となった相続財産は、いつでも相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で自由に分割することができます。例えば、A土地は長男、B土地は次男、預貯金は長女に、という具合にです。
   遺産分割協議が成立すると、共有財産は相続開始の時にさかのぼって各相続人の財産となります。

 注意すべきは、分割協議の合意は相続人全員でしなければならないということです。一人でも反対していれば協議は成立しませんし(協議が調わないときは家庭裁判所に審判を申立てる方法はあります。民907条2項)、一人でも協議に欠けている場合には協議自体が無効になります。

 相続登記を申請する場合に、添付書類として被相続人や相続人の膨大な数の戸籍謄本等が必要となる場合がありますが、これは相続人を正確に把握するための作業なのですが、上記の遺産分割協議とも関係する作業とも言えます。

 

相続人の一人が行方不明で分割協議ができない場合

 →行方不明期間その他状況により、家庭裁判所へ失踪宣告の申立(民法30条)や不在者財産管理人選任の申立(民法25条)をすることになります。

 

相続人の一人が高度の認知症で意思表示が出来ない場合

 →家庭裁判所に成年後見開始の審判申立(民法7条)を行い、そこで選任された成年後見人(民法843条)が遺産分割協議に参加するという方法があります。

 ただし、後見制度は判断能力の低下した被後見人の権利を保護することを目的としているので、申立人は十分にその制度趣旨を理解したうえで申立てをしなければ、当初意図したのと異なる結果となる可能性があります。専門家である私たち司法書士にご相談下さい。

 

● 相続税

 亡くなった人から各相続人等が相続や遺贈により取得した財産の価額の合計額が基礎控除額を超える場合、相続税の課税対象となります。

 

 1 基礎控除額   3千万円 + (600万円×法定相続人の数)

   ※平成26年12月31日以前の相続・遺贈により取得する財産に係る相続税は 5千万円+(1千万×法定相続人の数)となります。 

  

  2 相続税の申告  相続人は相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地の所轄税務署に申告・納税する必要があります。

 ※課税対象となる遺産総額の計算は複雑ですので、申告前に相続税に詳しい税理士にご相談下さい。

 

 

 上に記載した内容は概略であって、相続に関する手続は、実際たいへん面倒で手間がかかる場合が多いのです。戸籍謄本等の収集、相続登記、遺産分割協議書作成アドバイス、相続放棄・遺言書検認手続の為の裁判所提出書類作成、遺言執行など、お困りの事があれば、当司法書士事務所へご相談下さい。親切そして丁寧にお話をお伺いいたします。

 

 

           長崎県佐世保市長坂町522番地

             司法書士  古 川  寿

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                         FAX 0956-76-8953