民法には、普通遺言として「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類が規定されています(民法967条)。それぞれにメリット・デメリットがありますので、ここでは自筆証書遺言と公正証書遺言について説明します。

 

 

自筆証書遺言の書き方

 上記は、自筆証書遺言の記載例です。

 

 自筆証書遺言は、遺言者自身が、その全文、日付、および氏名を自書し、押印しなければなりません(民法968条1項)。この方式に違背する遺言は無効となります。

 

※ パソコン・タイプライターによる作成はできません。

※ カーボン複写の方式による遺言は有効とされています。(最判平成5年10月19日)

※ 日付がないと無効になります。西暦、元号のほか、「還暦の日」などでもかまいませんが、「○月吉日」の記載は無効とされました。(最判昭和54年5月31日)

※ 押印がないと無効ですが、使用する印鑑は認印でもかまいません。

※ 遺言書の加除・訂正方法は厳密に法定されています。(民法968条3項)

 

その他自筆証書遺言を書くうえで押さえておきたいポイント

① 用紙は自由ですが保存に耐えるものがよいでしょう。紙の大きさは、コピーしやすいA4サイズをおすすめします。

② 筆記用具も自由ですが、鉛筆の使用はできるだけ避け、万年筆やボールペンを使ってください。

③ 土地、家屋などの不動産の表記は登記事項証明書のとおり記載します。

④ 預貯金は、銀行名、支店名、普通・定期・定額の別、口座番号など、特定できるよう記載します。

 

 自筆証書遺言は、公正証書遺言のように費用がかからず、手軽に書けるというメリットがある反面、その証書の管理にリスクを伴います。

 ・紛失や第三者による偽造

 ・死後に発見されない可能性がある

 ・法律上の方式違背があった場合、遺言自体無効になってしまう

 

 

民法の一部改正により自筆証書遺言の方式が少し緩和されました(平成31年1月13日から施行)

 改正前の民法では、自筆証書遺言は、上記で説明しているとおり、全文、日付及び氏名を自筆し、これに印を押さななければならないとされていましたが、今回の改正でその要件の一部が緩和(自筆の負担を軽減)されています。

 

●改正の内容(遺言書の一部である財産目録については自筆を要しなくなった)

 自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(民法第997条第1項に規定する場合における場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自筆することを要しないとされ、この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自筆によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない(民法968条2項)。

 

●注意すべき点

①自筆によらない財産目録は本文が記載された自筆証書とは別の用紙で作成される必要があり、本文と同一の用紙に自筆によらない記載をすることはできません。

②財産目録の用紙が複数ある場合には各用紙ごとに、両面記載の場合には両面に、署名押印が必要です。

③財産目録として登記事項証明書や通帳の写しを添付することが可能です。

④平成31年1月13日より前に作成された自筆証書遺言については、相続開始が同日以降であっても、従前どおり、全文、日付及び氏名がすべて自書されていない場合には無効となります(改正法附則6条)。

 

 

公正証書遺言

 公証人によって作成される遺言で、2人以上の証人が立ち会い、遺言者が公証人に遺言の内容を口頭で述べます。公証人がこれを筆記して遺言者及び証人に読み聞かせます。遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認した後、各自が署名押印します。公証人がその方式に従って作成された旨を付記して署名押印することによって成立します。(民969条)
 

 公正証書遺言は原本と、原本の写しである正本、謄本の3通が作成されます。正本、謄本が遺言者に渡され、原本は法律では作成から20年間の保管が定められていますが、遺言者が120才になるまでの期間、公証役場に無料で保管されます。万一、正本を紛失しても再交付を受けることができます。

 

●公証人の手数料

  遺産の目的価格          手数料    (平成27.7.1現在)

100万円まで             5,000円

100万円を超え200万円まで      7,000円

200万円を超え500万円まで      11,000円

500万円を超え1,000万円まで     17,000円

1,000万円を超え3,000万円まで    23,000円

3,000万円を超え5,000万円まで    29,000円

5,000万円を超え1億円まで               43,000円

 

※遺言の場合の目的価格は、相続人、受遺者ごとに受け取る財産の価額を算定して合計した額。不動産の場合は固定資産税評価額を基準に評価する。

※相続、遺贈額が1億円までのときは、11,000円を加算する。

 例えば、相続人が1人で相続財産が3,000万円であれば、〔23,000円+11,000円〕で、手数料は34,000円となる。相続人が2人で相続財産が1人3,000万円であれば、〔23,000円×2(人)+11,000円〕で、手数料は57,000円となる。

 

●公正証書遺言作成のための必要書類等

① 遺言者本人の印鑑登録証明書(3か月以内に発行されたもの)

② 遺言で相続人に相続させる場合には、遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本(3か月内に発行されたもの)
③ 遺言で財産を相続人以外の人に遺贈する場合には、その方の住民票・免許証等氏名・住所・生年月日のわかるもの
④ 遺贈しまたは相続させる財産が

  ア 不動産の場合・・・ 土地・建物の登記簿謄本・固定資産評価証明書
  イ 不動産以外の財産の場合・・・ それらを記載したメモ
遺言公正証書の作成日当日には、遺言者の実印、証人2名の認印が必要です。

 

 司法書士としては、手続の確実性や保管の安全性から、公正証書遺言をおすすめしています。当事務所では遺言書案の作成や証人の代行などの相談をお受けしていますのでご相談下さい。 

 

 

             長崎県佐世保市長坂町522番地

               司法書士  古 川  寿

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